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かごしま女性医療フォーラム 第1回

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第一回テーマ 写真中央

2008年5月24日鹿児島市の南日本新聞会館南ホールで、「第1回かごしま女性医療フォーラム」が開催されました。

当日は、「あなたのために心のケアを!」という演題で、4人の講師の方が、乳がん医療の現状や心のケアの重要性についてさまざまな意見を述べられました。

 

また、ウエルライフカフェプロデューサーが語った「体にやさしいこれからの食とは?」というテーマや、相良病院総合相談支援室グループケア担当者が報告した「グループケアワークの実践」についても、約300人の参加者が熱心に耳を傾けていました。

同フォーラムは、女性の健康や疾病を取り巻く最新情報をもとに、女性が健やかに生活していくことを学び合う場として、今後、春と秋・年2回の開催を予定しています。

 

●東海大学医学部教授   保坂隆氏

●乳がん体験者の会 つどいいずみ   毛利滋子さん

●国立病院九州がんセンター 乳腺科部長   大野 真司氏

●相良病院総合相談支援室 グループケア担当   大堀由佳さん

●さがらクリニック21 ウエルライフカフェ プロデューサー   村上由紀さん 

 

保坂隆氏

 

保坂隆氏-1

<プロフィール>

77年慶應義塾大学医学部卒業。

平成5年東海大学医学部精神科学講師

平成12年東海大学医学部精神科学助教授

平成15年東海大学医学部精神科学教授

平成17年東海大学保健管理センター長 基盤診療学系教授

平成19年東海大学医学部付属東京病院 基盤診療学系教授

 

がん患者の3人に1人は「うつ病」「適応障害」の症状があり、特別なメンタルケアが必要と分かりました。

しかし、すべての方々がカウンセリングを受けているわけではなく、日本は心のケアが遅れているといえます。第一に主治医が患者さんの症状を見逃している場合が多いのです。なぜかと言うと、主治医は、「自分の患者がうつ病にかかっているはずがない、かかってほしくない」と思うのです。これは患者さんの家族なども同様です。ですから、患者さん自身が気付くことが一番だと思います。「がんだから仕方のないことだ」という人もいますが、私はこの考えを正常反応の拡大解釈と呼んでいます。2週間以上も落ち込み続けたり、涙が止まらなかったりするような症状があれば、何らかのメンタルケアが必要だと考えなければいけません。

また、がんになりやすい性格があるのかということは、はっきりとしたことは分かっていません。ただ、ある心理学者は「怒りや敵意などを抑圧し、おとなしくて協調性が高く、何か頼まれると断れずに、人からも好かれ、“いい人”、“いい患者”と呼ばれるような人は、がんの進行が早い」という結果を発表しています。これは医学的に実証されていなくても、無視することはできません。そこで我々が学ぶべきは、がん患者さんは、嫌なことは嫌だと言える勇気、断れる勇気を持つことが大切だということです。

心の状態とがんの進行についても関係があるのではないかと言われています。

がんの手術後、「がんには負けないぞ」というファイティングスピリットを持つ人、「もうダメだ」という絶望的な人などに分かれます。これまでの研究では、絶望的になる方は免疫機能が低下する、前向きな方はその後の生活も充実することなどが分かってきました。ファイティングスピリットを無理なく持てる方は周囲の人間や医療者が励ましてあげるとさらにいい。絶望的な方でも精神科医の診察を受けると3ヶ月で改善するので、ハードルを高く考えずに、ぜひ診察を受けることをおすすめします。

家族との強い絆や患者同士の支え合いもがんの経過にいい影響を与えます。

これはがん患者さんだけでなく、すべての病気の患者さんにも言えることなのです。また、男性にとっては、奥様を中心としたソーシャルサポートが特に重要であることも分かっています。さらに、同じ病気の患者さんが、週1回10人くらい集まってグループ療法を受けると、必ずしも長生きはしなくても、患者さんの不安や苦痛がやわらぐことも分かっています。「先生たちが患者の気持ちを理解しようとしているのはよく分かるが、限度がある。やっぱり同じ病気を体験した仲間同士のほうが分かり合える」というのが患者さんの本当の気持ちだと気付きました。しかし、日本の医療の現状では、診療報酬として加算されていないので、グループ療法を導入する病院はほとんどありません。

現在、グループ療法を行えるファシリテーター養成講座を全国で展開し、同時に診療報酬化を目指した研究を始め、署名を集めています。また、「家族は第2の患者である」と言われており、患者さんの家族のための対策も考えなければなりません。これからは患者さんの視点や要望で、医療を変えていかなくてはならないと思います。

毛利滋子さん

 

毛利滋子さん-2 <プロフィール>
鹿児島県指宿市在住。07年7月、初めて受けた検診で乳がんを告知され、同年9月と10月に両乳房の全摘出手術を受ける。その後、相良病院にてグループ療法に参加。現在もホルモン治療を続けている。

「なぜ私ががんになったの」

生まれて初めて、何となく受けた指宿の検診で乳がんを発見しました。乳がんだと言われた時は、びっくりというか頭の中が真っ白になり、その時のことは正直よく覚えていません。家に帰ってからは慣れないパソコンの前で、何時間も病気について調べたように思います。それで、いろいろなことを踏まえて、相良病院で手術をしようと決意しました。

手術前にはさまざまな検査があり、自分が乳がんだということを受け入れる前に手術を受けることになりました。ドクターの説明で全摘だということでしたが、私には3人の子どもがいますので「がんなんかに負けていられるか」という思いがあって、手術を受けました。病院はとても快適で、ラウンジでは同じ乳がん患者の方たちとおしゃべりをして勇気づけられることもありました。

退院後は、子どもに不安を与えないように、いつも以上に家事も頑張りました。しかし、帰ってから1週間ほどで、笑うことも、泣くことも、怒ることもできなくなり、食事も満足に作れない状態になりました。

そんなときに相良病院のグループ療法を受けてみないかというお誘いがあったのです。乳がんを闘った仲間に会えるかもと出掛けてみたら、参加者の方々が本音でしゃべってくださって、それがすごくありがたかったです。指宿から1時間かけて行くのですが、グループ療法を受けた日はたまらなく元気になるのです。そうして5回も受けると自分の気持ちが変わっていくのが分かりました。今まで不安に思っていたことをポジティブに変えなければならない、それが必要なのだと思いました。娘に「今、お母さんは世界一プラス思考だね」と言われて、笑っても1日、泣いても1日なら、私はプラスでやっていこうと思ったのです。皆さんに元気をもらいましたが、私も女性として悩む夜もありますし、これからもそんなときがあると思います。

がん患者の心のケアは患者の立場からは絶対に必要なもので、患者が求めているものです。

皆さん、先生方、ぜひもっと広めてください。

私はがんには負けませんし、心のケアを受けたことで、大事な体験ができたと思っています。

 

 

これを機会にもっといろいろな経験をしていきたいと思います。

 

大野 真司氏

 

大野 真司氏-2 <プロフィール>
84年九州大学医学部卒業。
97年同第2外科講師などを経て、2000年より国立病院九州がんセンター乳腺科部長を務め、現在にいたる。「ハッピーマンマ-乳がんから女性を守る会-」代表理事も務める。

「医学の進歩が乳がんを治す」

日本人女性の3人に1人ががんになります。その中で一番多い乳がんになるのが20人に1人です。

なぜがんが怖いのかと言えば、再発し、命を落とす恐怖があるからです。乳がんの手術を受けた後に再発する人は、残念ながら4人に1人というのが現状です。しかし、薬の治療をすることで体に散らばっているがん細胞が消え、再発を防ぐことができます。

自分のがんの特徴はご存じでしょうか。乳がんは4つのタイプに分かれ、そのタイプはホルモン、もしくはHER2(ハーツー)で分かれます。これは、治療を受け止める「手」があるかどうかを判断するもので、手術などのときにがんの組織の検査をして必ず調べます。まったく何の治療も薬も効かないという人はなく、必ず何かが効きます。それを調べて、その人に合った治療をするというのが、今の乳がんの治療です。私たちは、年齢、閉経状況、どこに再発しているのか、症状はないか、手術から再発までの期間、ホルモン・HER2の状態、今までどんな治療をしてきたか、患者さんがどんなことを思っているかなどをもとに治療を組み立てます。そしてまず、効く薬は何か、急いで治療をする必要があるかを判断します。

現在は治療に有効な薬がたくさんあり、5年前、10年前、15年前と比べると、どんどん新しい薬が登場してきたことが分かります。最近は吐き気などの副作用も軽減されています。

アメリカのMDアンダーソンがんセンターでの調査では、30年前は再発して1年で半分の方が亡くなっていました。それから5年ごとに5%ずつ良くなっており、患者さんの延命率が上がっています。九州がんセンターで同じように調査をしてみると、日本では海外で治療に有効だと実証され、治験で効果が出た薬を取り入れているため、5年遅れています。今後、延命率はもっと良くなっていくはずです。

先日退任した当病院の院長は、「病む人に備える」という言葉を掲げていました。患者さんが来たときにどれだけの準備ができているか、今はそれが問われています。薬は発展を続けています。一番いい薬は希望あってのものです。医療は良くなっている。希望を持って生きて欲しいと思います。

 
大堀由佳さん

「グループケアワークの実践」

乳がん手術を受ける患者さんを対象に、相良病院ではケアの一環として、3?8人のファシリテーターのグループで、4月からグループケアワークを開始しました。

手術前は不安軽減やリラクゼーションを目的に、手術後からは同じ体験を持ち、同じ悩みや不安を抱える仲間がいることを実感することで、前向きに安心して生活することをテーマに実践しています。患者さんからは、「はじめはグループケアへの参加をためらっていたけれど、参加してよかった」、「ある方の話を聞けて元気になった」などの声が寄せられています。

 
村上由紀さん

 

村上由紀さん -1 <プロフィール>
飲食店のプロデュースや料理に関する講演・執筆を実施。地域食材を都内有名レストランで利用するなど、メニュー開発も手掛けている。
現在、さがらクリニック21の1階にある「ウエルライフカフェ」のプロデューサーを務める。

 

「体にやさしいこれからの食とは?」

カラダをリセットできる場所、健康を考えたカフェを作るという目的で、さがらクリニック21にウエルライフカフェをオープンさせ、現在3ヶ月が経過したところです。

人間にとって、タンパク質、糖質、脂質は大切な栄養素ですが、今の食事では、糖分と脂質が過多になり、摂取カロリーも高くなっています。

しかし、体重を減らすことばかりを考えると、必ずリバウンドしてしまいます。無意識に食べず、何を食べたかを意識したり、1日の摂取カロリーをどういうバランスでとるかということを考えながら食べるだけで、カラダをいたわる食へと変わっていきます。何をカラダに入れるかで体質は変わってきますし、さまざまな食べ物があふれる今、食べ手としての意識と認識が必要です。

ウエルライフカフェは、砂糖と油を極力ひかえて、栄養素のことを考えながらも、どれだけ美味しく、楽しんでもらえるかというテーマをもとに作られたカフェです。こちらのカフェで出るサラダは野菜を固めにゆでてあるので、噛むことで唾液を出し、免疫力を高めてくれます。料理の作り方をスタッフに聞いていただくなどして、カラダにやさしい食事が家庭にももっと広がって欲しいと願っています。

女性がいつでも美しく、心から元気でいるためにも、気持ちよく食べることが大切です。まずはあなたのカラダの声をきちんと聞くクセを付けてみてください。

 

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